ベールに包まれたイスラエルの諜報機関「モサド」とは

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令和のサムライ通信:イスラエルの諜報機関「モサド」の巻

スパイや秘密情報員というとアメリカのCIAやイギリスのMI6が有名です。
しかし、地味ながらも群を抜いた存在感を持つのがイスラエルの「モサド」です。

 

モサドは、イスラエル初代首相のベン・グリオン首相が1949年に創設したイスラエルの諜報機関です。

モサドと言うとアイヒマン捕獲作戦で世界中に名を轟かせましたが、つい最近も、その実行責任者のラフィ・エイタン氏が亡くなったことでも、モサドが話題になりましたよね。

周りを敵国で囲まれたイスラエルに取って、モサドは、イスラエルの安全保障の鍵を握る存在です。

モサドなくして国の存続は不可能と言われるほど最重要な組織なのです。

 

モサドの活躍は何故凄いのですか、どういう秘訣があるのでしょうか。

先ず言えることは、イスラエルには組織間の軋轢が無いのだよ、モサドは国中から信頼されていて、協力体制が強いことでモサドの力は最大限に発揮できるのです。
これがアメリカの場合だと、FBIやCIAなどは、職務のぶつかり合いから、常に縄張り争いに発展してきたことは有名だよね。
しかし、イスラエルにはそれが無く、軍隊も警察もモサドの活動には、常に全面支援の体制が整えられているのです。


イスラエル国家とモサドの定義
目には目を、やられたらやり返す。執拗なまでの執念でターゲットを追い込み、テロリストや要人を容赦なく確実にしとめるのがモサドの定義です。
ここまでするのはイスラエルという国の複雑で特別な事情があるからです。

ナチスを中心に世界中に広がったユダヤ排斥の嵐、何も抵抗できなかった途轍もない屈辱の過去。
ユダヤ人は下手すると民族根絶に晒されていたかも知れない、それは、独自国家を持たないが故の悲劇であった、この反省を踏まえユダヤ人は強固に結束したのです。

やられる前に未然に防ぐ、その為には先制攻撃も辞さないのがイスラエルの信念なのです。

このことからも判る通り、モサドなくして、国家の安泰は無いのです。

イスラエルと言う国は、昔から敵に囲まれているせいか、手の内を見せないところがあると聞きましたが、どういうことなのですか。

実はイスラエルと言う国は、とぼけの名人なんだよ。
イスラエルの心理作戦は巧妙、イスラエルは、犯行を疑われても敢えて否定も肯定もしないことで、相手に恐怖とプレッシャーをかけるのです。
例えば核疑惑に対しても、通常はそんなものは無いと全面否定するのが普通だが、イスラエルは、わざと否定も肯定もしないことで、核なんてとっくにあるよと、ほのめかしているのです。

 

うわっ、凄い心理的な強圧を感じます。

暗殺に対しての疑いも、そう思うのだったらご自由にどうぞ、我々はあなたがたに反論するつもりもない、などと、非常に不気味感を植え付けるのです。

 

しかし、そんなモサドにも欠陥が少しだけあったのです。それはアメリカなどと違って資金力に限界があるからです。

それは次に触れますが、パレスチナの過激派組織「黒い9月」との攻防戦で明らかになるのです。

「黒い9月」への報復
モサドというと1972年に起こったパレスチナ過激組織「黒い9月」がまき起こしたミュンヘンオリンピック襲撃事件(イスラエル選手11名殺害事件)の報復を思い起こします。

当時の首相メイア女史は、報復としてテロ実行犯と黒幕全員の暗殺をモサドに命じ、これによって、双方で熾烈な暗殺合戦が繰り広げられたのです。

モサドの弱い部分がたまたま露呈
モサドは、ノルウェーでミュンヘン事件首謀者の中心人物であるアリ・ハッサン・サラメと思われる人物を尾行して射殺するのですが、ところが、射殺したのはサラメでは無く全くの別人であったのです。

そして、犯行現場で誤射したこの人物の妻に目撃され、逃走する車のナンバーを警察に通報されてしまうのです。

さらに、借りたレンタカーも他人名義では無く、メンバーが直接借りていたことで、返却する際に2人の工作員が逮捕されるという前代未聞のヘマを犯すのでした。

極めつけは、この逮捕での自白によって、アジトも摘発されてしまい、芋づる式にモサドの工作員が逮捕されると言うお粗末な事態となってしまった。

ノルウェー警察は、世界で最も優秀な諜報機関であると思われていたモサドが結構杜撰な仕事をしていたことに驚愕したのです。

この逮捕劇によって、モサドの実態が暴露され、モサドの暗殺隊の中心は、特殊訓練を受けた洗練された精鋭部隊ではあるのですが、あとの半分はイスラエルに忠実な現地調達の人物であるという実態が明るみに出たのです。

これは、明らかにモサドの資金力の限界を表しています。

当然、イスラエル政府は優秀な諜報員を育てるための努力はしているが、熾烈な報復合戦によって、工作員の人員不足となった可能性もある。

これは豊富な資金を持つCIAやMI6のようにはいかないと言うことです。

しかし、どう考えても凄すぎるモサドの実力
ただ、これだけを見てモサドの組織が低下していると見るのは早計です。

そもそも、モサドの目的は、手段はどうあれ、ターゲットを見つけ出して暗殺実行あるのみなのです。

ターゲットとなったミュンヘンテロ実行犯達は、次々と仲間が消されていく中で、相当な警戒をもって行動していたことでしょう、しかし、モサドはそれをものともせずに見事に11人全員の暗殺に成功するのです。

一体どうやって、各国に散らばっているターゲット達の行動、居場所を特定できたのだろうか、それひとつ取っても、やはりモサドの情報網と諜報活動は驚くほど緻密であったことが伺えるのです。

何より、暗殺には相当なリスクを伴うのです。
彼らは、襲撃を予知して確実に武器を携帯しており、しかも手強いプロのテロリストなので返り討ちにあう可能性も大きいのです。

そしてこの暗殺は、パレスチナ内では不可能なので、全て外国での実行となる。

しかし、外国での暗殺は、常に主権の問題が絡むので、そうやすやすとは行かないのです。

外国で銃撃戦になってしまったら確実に断絶レベルの国際問題になります。

また、少しでも不審に思われたらアウトなわけで、相手に悟られずに尾行するだけでも通常以上の難儀を伴います。

相手のスキを見計らって暗殺にこぎつけるには相当なプロフェッショナルでないと絶対に不可能な話だということです。

ノルウェーでは、モサドでもそんな油断があったのですね、しかし、本当に実行するところは、まるで映画のようです。

ノルウェーでの失敗は、暗殺することだけに集中して、気の緩みがあってシメの逃亡手段などが疎かになってしまったというわけです。
しかし、よく次々と相手を見つけ出せたと感心します。これは敵に潜入しているスパイからの情報なのでしょう。


モサドの実態に近い「ミュンヘン」
とにかく、11人全員の報復暗殺をやってのけるのはモサド以外にない。

実は、この報復合戦を結構忠実に捉えた映画があるのです。それは、スピルバーグ製作、監督の「ミュンヘン」と言う映画です。

この作品は、暗殺者たちの心の葛藤と苦悩を描いていて、かなりの重厚な作品で見応えがあります。

そしてイスラエルにもパレスチナにも偏ったものでは無く、暗殺、殺し合いの虚しさを訴えたものであることで評価に値する作品です。

まとめ
その後のモサドは、ノルウェーでの反省を踏まえ、証拠を消し去ること、鮮やかな暗殺の手口を徹底するのでした。

記憶に新しいのは、ハマスの幹部であるマフムード・マブーフがアラブ首長国連邦のドバイで暗殺された事件です。

この事件は、日本でもニュース映像で散々取り上げられたので有名です。

モサドの工作員達は、テニスウエアを着たり、夫婦を装ったりなどで、普通の人に成りすました姿を監視カメラがしっかりと捉えていましたね。

彼らは、犯行後、偽造されたパスポートを使い素早く国外に脱出しました。

現在のモサドは、ITを駆使したハイテクな作戦も取り入れ、諜報活動をより進化させていると言われています。

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